本日のいけないニュース~幽霊消防団員不正報酬問題~
本日のいけないニュース~消防団不正報酬問題~
こんにちは!
つい先日、個人の問題と制度や団体の問題を一緒に考えてはいけないという話を書きましたが、
まさにそんな感じのニュースがいくつか挙がっていました。
ひとつはこちら。
これはなんともお粗末なもので、受け取った”納税”を着服して納税しなかったわけです。
そりゃ、住民には督促状が届くでしょうね。
そのうち何人かは払ったかどうかを覚えていなくて、督促状に従うかもしれませんが、
まめな人がちゃんと控えなどを残していたらすぐ発覚するでしょう。
これでなんとかなると思っていたなら、どうやって公務員試験に受かったのか謎レベルですが・・・。
いや、謎ですね。
まあ試験で点を取るのと、思考能力の成熟は相関しないということでしょうか。
それか、どんな人間でもせっぱ詰ったらなにをやらかすかわからないという教訓かもしれません。
次はこちら。
これは本当にただのやばい人ですね。
ひとつ前の市職員と同じでやっていいことと悪いことの区別がつかない残念な人。
過去記事での新潟県警の場合8月30日の事件について処分が12月25日、公表が26日ですから、
まあ今回長野県警が隠ぺいしようとしたと言われても仕方ないような気もします。
ストーカー行為に及んだのが2日間ということで、県警は大事ではないと判断したんでしょうか。
ただ、個人的には個人情報漏えいなどの公共に関わる問題でなければ、
いちいち公表する必要があるかは微妙だと思ってます。
一般企業だって時には所属社員が犯罪を犯すことがありますが、
細かい事例についていちいち公表しているところなんて聞いたことがありませんしね。
これらの、杜撰で簡単に発覚する不正は完全に個人のやらかしです。
これを基に警察や自治体の組織自体を批判するような意見は的外れであるといえるでしょう。
長野県警の隠ぺい疑惑は追求する余地がありますが、
そのためにはまず「なぜ警察組織内で起きた事件をすべて公表する必要があるか。」について意見を表明するところから始める必要がありますね。
しかも今回はもみ消しではなくてちゃんと処分が出されてますから、一応警察としての職務は全うしているわけです。
ただまあ、批判的な見方が存在するのはわかりきっているのだから、
あとで問題になるよりは新潟県警のようにさっさと公表するのが利口かもしれません。
それから、これなんかもどうでしょう。
この男性教諭の気持ちもわからんこともないですよね。
やはり国全体として防疫の意識が薄れてきていることも確かで、それに危機感を覚える人もいるでしょう。
ですから、こうやって意見が対立することも大いに考えられます。
そのとき激高のあまりついうっかりガラスをたたき割ってしまったと。
教師としての素質はちょっと足りなさそうですが、とにかく完全に個人の問題ですね。
ただ、たしかに全校集会について今この時期にどうしてもやらなければならない集会だったのか疑念はあります。
お偉いさんが「やる」といったらやるしかない。
反対意見をぶつけても真剣に相手にされない。
周囲は仮に心の中で同調しても声を上げてくれず、孤立する。
こういった現象を”日本”という組織全体の問題であるといえば、そうなのかもしれません。
ただ男性教諭を叱責したり憐れんだりするだけでなく、
表層上の出来事以上に深く考えていかなければいけない問題かもしれませんね。
と、ここまではだいたい個人の問題です。
どれだけ制度を整えても、こういう人間は少なからず存在するので止めることができません。
誰かがやらかしてしまったら、粛々と処分をすることしかできませんし、
これを止めるためにいくら厳粛な制度を設けても、やはりやらかす人はやらかすでしょう。
では次の問題はどうでしょうか。
これは完全に制度や組織の問題ですね。
毎日新聞さんがちゃんとマスメディアらしい仕事をしたと言えます。
そもそもからして、法治国家と言うのは”性悪説”に立って制度を設計しなければなりません。
国家内の秩序を守り、正しい人に利益を、悪には裁きを課すのが国家の安定につながります。
ごく一部の悪人が野放しにされていると、「悪人のほうが儲かる」となりかねません。
そんな国家が正常に機能すると思えますか?
ですから、制度設計において”自己申告”に頼ったやり方というのは許されないはずなのです。
申告を受けて調査をし、裏付けを得て給付するというのは普通に考えて当たり前ですよね。
それが、消防団員に関しては”自己申告”でなんとかなる部分が大いにあったということでしょう。
ただ、関連記事をみると、まったく実態を把握していなかったわけではなくて、
調査すれば活動実績がないことが容易に判明し、なおかつ政府からの是正要請に自治体が従ってこなかったという経緯がありますから、
制度の問題と言うよりは運用する組織の問題なのでしょう。
ひとつは、ある程度実態を把握していながら”指導”に留めていた政府の問題。
ひとつは、原資を支出する政府の指導より消防団からの強い要請を優先するという自治体の公金意識欠如の問題。
ひとつは、制度を悪用し私腹を肥やすという消防団本体の問題。
こういった様々な問題の集合として今回の件はあるのです。
毎日新聞さんは片山虎之助元総務相への取材を通して、政府の怠慢だと印象付けたい様子が伺えますが、
同時にそれを追及せず見逃してきたのは野党の怠慢でもあります。
ですから、誰かに責任を転嫁して大騒ぎするだけで終わってしまってはいけません。
また、消防団だけの問題で終わってしまってもいけません。
同じような構図がほかにないだろうか。
どうすればこういったことを予防できるだろうか。
そのためにどんな制度を構築するべきだろうか。
そういったことについて議論を深めていかなければなりません。
また、自分も同じように不正をする側あるいは見逃す側に回ってしまっていないかどうか、自戒する必要もあります。
このように、同じひとつのニュースでも、
個人の問題として流し見で処理していい問題とそうでない問題が混在しています。
些末な問題で大騒ぎするのも意味がありませんし、大きな問題は見かけ以上の問題を孕んでいたりします。
そういったものをきちんと見極めて、今問題にすべきはどういったことなのか考え、
ひとりひとりが当事者意識を持ってそれに取り組む姿勢を持つことが大事ですね。
ただ今回の消防団のニュース・・・。
毎日新聞さんには”いけない”部分があります。
それは、タイトルのつけ方と記事の見せ方です。
まずタイトルですが・・・
「活動してないのに報酬3億円「幽霊消防団員」その実態は?」
これ、意図的に報酬3億円と大きな数字をぶち上げて注目を集めようとしていますね。
タイトルだけ見たら一人当たり3億円と認識する人がいてもおかしくありません。
記事を読めばわかる話ではありますが、こういったやり方は正しい姿勢ではありません。
それから記事の見せ方。
毎日新聞は全国の「幽霊団員」の存在を把握しようと、人口10万人以上の264都市を対象に2018、19年度の活動についてアンケート調査した。11月末から12月20日まで実施し、251市から回答を得た(回答率95%)。
その結果、18、19年度の2年間にわたり活動履歴が残っていない団員が116自治体に計4776人おり、報酬の支払総額は計3億1427万円にのぼった。特に愛知県豊田市(1171人)、横浜市(890人)、山形市(236人)で多かった。中には子どもの見守りや祭りの警備など手当の支給対象外の活動をした団員も含まれるとみられるが、大半の消防団に活動の実態を把握できない「幽霊団員」がいることが分かった。アンケートでは、活動履歴のない団員は18年度に7799人、19年度には8967人いた。
調査の内容を詳細に記述するのは良いのですが、やはり支払総額3億1427万円というのを見せたいのだと思います。
これ、計算してみるとわかりますが、
314,270,000円÷4776人だと一人当たり65,801円ですね。
で、さらにこれは2018年度、2019年度ともに活動実績のない団員のデータですから、
2年間でこの額ということになります。
タイトルの衝撃とのかい離がすさまじいです。
で、この2年間活動実績なしの団員は251市の中の116市にいるわけですから、
自治体としてはおよそ46%で、半数以上の自治体には2年間活動実績なしの団員がいないという話になります。
なおかつ、その46%の自治体にいる4776人のうち、豊田市1171人、横浜市890人、山形市236人のトップ3合計で2297人ですから、
およそ48%が当該自治体に存在するわけです。
116市のうち3市に48%ですよ!?
(ちなみに、活動実績に当たらない活動を"した"人物も含まれていますが。)
これはもう自治体の問題だと言ってしまっていいのではないですか?
それを無理遣り政府の怠慢に結びつけるというのもどうなんでしょう。
もちろん、公金ですから不正があってはいけないのは間違いないですけど、
批判の矛先は政府じゃなくて自治体に向けるべきなのではないでしょうかね。
票田だなんだといって政府や与党に責任の所在を押し付けるのは、メディアとして公正な姿勢とは思えません。
しかもこれ、人口10万人以上の自治体251市への調査ですから、
一番低く見積もっても25,100,000人、実際には10万人よりはるかに多い自治体もあるでしょうからもっと多いですけど、その中の4776件の話なのですよね。
(不正の結果、個人ではなく消防団そのものや団長などに資金が流れているということから”件”としました。)
この程度の話に国がしゃしゃりでて何とかしろというのもどうなのか、という感じです。
繰り返しですが、放置していいとは思いませんよ?
ただ、これはもう本当に自治体の問題にすぎないと思うのですよ。
ですから、毎日新聞さんは調査の結果、どこの自治体に幽霊消防団員がいるのか詳細に明らかにすべきです。
そしてその自治体の有権者が、必要だと思えば各自に自治体に対して是正を要求すれば良いではないですか。
珍しくちゃんと調査をして独自に記事を仕立てているようですが、
やはりマスメディアとはこんなもんか、と思わざるを得ない仕上がりですね。
こんなことだからマスメディアは自身の価値を貶め続けているのです。
これで「新聞を読もう!」なんて宣伝されたって片腹痛いわってなもんです。
彼らの作る媒体はもはや、知性と見識を広める道具ではなくなってしまいました。
(いや、初めからそうだったのかもしれません。)
今、我々には、各メディアの報道をただ鵜呑みにするのではなく、
なおかつ自分に都合のいい情報のみを信じるのでもなく、
内容を精査し自分で考える力を持つことが求められています。
愚かな国民のいる国家でも、たった一人の賢人が率いれば栄えるものです。
ですが、もしその賢人が倒れたとき、国家は貧するでしょう。
国民が聡明な国家は、たった一人に頼ることなく、安定し持続的な発展を遂げることができます。
我が国が目指すのはどちらの国家でしょう。
それを考えれば自ずと我々が為すべきことが見つかるはずです。
最後にひとつだけ。
海上保安庁の皆さま、本当にご苦労様です。
ありがとうございます。
毎日新聞は全国の「幽霊団員」の存在を把握しようと、人口10万人以上の264都市を対象に2018、19年度の活動についてアンケート調査した。11月末から12月20日まで実施し、251市から回答を得た(回答率95%)。
その結果、18、19年度の2年間にわたり活動履歴が残っていない団員が116自治体に計4776人おり、報酬の支払総額は計3億1427万円にのぼった。特に愛知県豊田市(1171人)、横浜市(890人)、山形市(236人)で多かった。中には子どもの見守りや祭りの警備など手当の支給対象外の活動をした団員も含まれるとみられるが、大半の消防団に活動の実態を把握できない「幽霊団員」がいることが分かった。アンケートでは、活動履歴のない団員は18年度に7799人、19年度には8967人いた。