本日のいけないニュース~保育園集団食中毒~
本日のいけないニュース~保育園集団食中毒~
こんにちは!
今日は特におもしろいニュースがありません。
アメリカ大統領選挙はもう少し具体的に進展があるまで触れませんよ笑
いろいろな噂や憶測なんかは飛び交ってますが、いまいち具体的な動きや確定した事実というのが見えなくて、言及に困ります。
炎上やアクセス稼ぎならどんどん燃料を投下するのが良いのでしょうけど、
炎に包まれて火元が見えないときは冷静に出火原因の特定ができませんから、
消火が終わって焼野原になってからが議論の本番ですよね。
ウチはあくまで『遅報』なので、そういうスタンスです。
ということで、巷でちょっと話題になっているこの問題に触れましょう。
この産経新聞さんの報道が初報だと言われていますが、その後いろいろな報道が続くにつれて、この産経新聞さんの記事が「いけない」類の内容であることが濃厚になりました。
記事を要約すると
①墨田区の保育園で集団食中毒発生。
②調理業者がメーカーの定めより多くの時間だしパックを煮出したことが原因の可能性あり。
③だしパックからは微量のヒスタミンが検出された。
④都は「記載された用法を守ってほしい。」と呼びかけている。
となります。
だしパックが原因であるとかなり強く推測される内容になっていますね。
では、東京都福祉保健局の報道発表資料を見てみましょう。
どうですか?
「きつねうどん、きざみあげ、だしパックからヒスタミンが検出された。」という事実のみ書いてあります。
そりゃそうで、実際にどこに原因があるかわかっていないからです。
では、産経新聞の「都は「記載された用法を守ってほしい。」と呼びかけている。」というのはどこから持ってきたのでしょうか。
独自の取材でしょうかね?
少なくとも福祉保健局の報道発表資料にはありませんでした。
おそらく電話などで取材したのかと思われますが、後追い報道ではこんなものが出てきています。
この問い合わせに対応している「東京都食品監視課」というのは、
おそらく「東京都福祉保健局健康安全部食品監視課」です。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tosei/soshikijoho/soshiki/fukushihoken.html
つまり福祉保健局に問い合わせた後に回される担当部署ということです。
なので、おそらく食中毒関連の問い合わせはここにたどり着くようになっているでしょうから、産経新聞の取材先もここなのではないでしょうか。
であるとするならば、
「だしパックでヒスタミン食中毒が起きた事例は、私が知る限りでは無いので、長く煮たことが影響するかは分からない。ただ、長く煮たというのが『通常とは異なる』という意味で、何らかの要因となった可能性も否定はできない」
というのがおそらく公式な見解でしょう。
後追いの記事にはいろいろ詳しく書かれていますね。
特に、
東京都は、今回の食中毒について「今までにない」非常に珍しい事例だとコメント。通常、中毒を起すのは、ヒスタミンが100mg/100gを超える場合という認識だという。ただ、これは大人の場合で、子どもは少ない量でも症状が出る可能性がある。
という部分が重要になってきます。
つまり、今回の件の原因は「だしパック」でも「煮込みすぎ」でもなく、「子供は少量のヒスタミンでも食中毒を起こしやすい。」ということであり、
記事にして問題視するならその点を明確にしなければなりません。
・大人は問題がないこと
・だしパックから検出されたヒスタミンは極めて微量であること
・子供には微量でも影響が出る可能性もあること
これらの事実を明らかにしたうえで、「子供に提供する際は用法を守るなど注意が必要。」という結論を出すなら問題なさそうです。
そしてこれは「だしパック」に限られた話ではないのですよね。
魚には少なからずヒスタミンが含まれていて、可能性の話で言えばパック以外のだしであっても、長時間煮出すと同じようになる可能性があるのです。
だだ、鰹節などは一緒に煮込むと取り出せませんから、サッとだしをとって、濾して、それから食材を煮込む形になるのであまり問題はありませんが、
それだって使い方は人それぞれですから、注意が必要です。
では、それらを踏まえて産経新聞さんの記事を構成しなおしてみます。
①墨田区の保育園で集団食中毒発生。
②だしパックからは微量のヒスタミンが検出されたが一般的には問題のない量で、魚にヒスタミンが含まれているのは当たり前である。
③ただし、子供は少量でも症状が出る場合がある。
④調理業者がメーカーの定めより多くの時間だしパックを煮出したことも要因の一つかもしれない。
⑤安全のため、だしなどは用法を守り使用することを推奨する。
こんな感じでしょうか。
簡単に言うと、「普通は気にしなくてもいい程度の事例だけど、気になるなら注意してね。」というくらいのニュアンスで記事を書くべきだったということですね。
ただ、ここからは完全にただの感想に過ぎないのですが、ヒスタミン含有5mg未満/100gのだしパックを煮出すと、きつねうどん8mg/100g、きざみあげ20mg/100gになるのかどうか・・・
素人考えではありますがどうなのかなぁ・・・という印象です。
5mg未満/100gのだしパックを合計何g使ったのかわかりませんが、水で薄まることも考えるとねぇ・・・。
ものすごい量のだしパックを入れないといけないような気も・・・。
製造メーカーの品質管理や一連の衛生管理など、どうだったのか気になります。
一度増えたら加熱しても減らせないヒスタミンですが、ヒスタミン産生菌は加熱によって死滅するので、逆に増えるとも思えません。
たとえば原材料の魚の鮮度管理が悪かったとか、
もしくはその悪い状態の魚のえらや肝(ヒスタミンが多く含まれる)を使用してしまったか。
あるいは、だしパックを濡れたままや漬けたまま常温で放置していたとか(それで原理的にヒスタミンが増えるのかはわかりませんが・・・)。
そのあたりが考えられるかな、と感じました。
いや、これは根拠がないです。あくまで邪推ですよ。
うるめイワシの乾燥過程ではヒスタミン産生菌が増殖するという話もあるので、
当該だしパックの原材料のいずれかにヒスタミン産生菌が残っていることも考えられます。
https://pdfs.semanticscholar.org/f5e3/15934ebb4c6d6278f8154c737f1d46841f9c.pdf
今までは、あくまで微量な上、乾燥によって水分活性が低くなっているので、すぐに加熱調理すれば問題になっていないだけなのかもしれません。
残存したヒスタミン産生菌、水分や温度管理の問題などが重なった結果なのかなと感じました。
まあ、変な想像を巡らせるのはこの辺にしておきましょう。
真相が究明される日は来るのでしょうかね。
(ちなみに個人的にですが、だしパック45分も煮込んだらおいしくないと思います。)
そうそう、最後にコレ。
完全にだしパック悪者ですね。伝言ゲームって怖い。