本日の話題~内閣支持率世論調査~
本日の話題~内閣支持率世論調査~
おはようございます!
直近の内閣支持率が出たようですね。
ニュースサイトのヘッドラインには50パーセントに急落!という文字が多数踊っていて、
結構一気に下がったなぁという印象なのですが、これは注意が必要です。
報道機関と言うのはもちろん独自取材もするのですが、すべてを自前で賄うのは無理があります。
ですから、後追い報道とかどこかの報道を引用するような形で自社のニュース記事に仕立てることが多々あるのですね。
で、この50%という数字は共同通信社の調査によるもので、それをそのまま転載している記事が多いというのが事実です。
たとえば以下の記事はすべて共同通信をソースとしています。
・・・う~ん。節操ないっすね~。
ちなみに他社の調査もちょいちょい出てきてます。
JNNが55.3%、読売が61%と、下がっていますがまあそんなもんです。
ご祝儀相場の後、と考えれば下がるのが自然で、ここからが政権運営の本番と言ったところでしょうか。
追記:びっくりなのですが、該当記事が消えています。結局共同の記事に相乗りですかね。
さて、この世論調査ですが、右寄り左寄りの方々はおそらく
「共同通信は調査対象がおかしい。」とか「読売は政権支持者の読者が多いから。」とか
そんな意見を持つのかもしれませんが、確かに調査対象者を特定のグループに絞ればある程度数字を誘導することも可能かもしれません。
とはいえ、あまりに現実とかけ離れた結果を出した場合、報道機関の信頼性に関わる問題になってきますから、
調査自体は粛々と行っているのではないでしょうか。
ありがたいことに、読売さんとJNNさんは特集サイトや記事が別であるので、
詳細を知ることができます。
各社ともにコンピューターで無作為に作成した電話番号に聞き取り調査をするRDD調査方式で、
固定電話と携帯電話合算で2000人前後の調査数のうち解答は1000人程度。
読売さんは「支持する」「支持しない」「その他」の3つ、JNNさんは「非常に支持できる」「ある程度支持できる」「あまり支持できない」「まったく支持できない」「わからない」の5つから回答する形になっています。
JNNさんの「あまり支持できない」という回答については、あくまで”あまり”という程度の解答なので、
おそらくですがその中にも支持寄りの人と不支持寄りの人が混在しているのではないでしょうか。
読売さんの方式では「支持できないというほどでもないから一応支持はするけど・・・」というくらいの人が、
JNNさんでは回答の幅が広いことから「あまり支持しない」を選択する可能性があります。
そうなると、読売さんでは支持が高く出やすくなり、JNNさんでは「あまり支持しない」を”不支持”に含めることから、支持が低く出やすくなります。
では、調査数1000人というのはどれくらいの精度なのでしょうか。
こちらに書かれているように、統計学的には問題のないサンプル数だと言えます。
ただ、指摘の通り最初から数%の誤差を前提にしたサンプル数なのですね。
なおかつ、こんな記事もあります。
読売さん、JNNさんの調査の回収率はどうでしょうか。
読売さんは固定電話58%、携帯45%、JNNさんは固定電話61.9%、携帯48.3%となっています。
まあこの程度の回収率で、なおかつ固定電話と携帯電話の回収率にもそこそこ差がありますから、
解答者の属性に偏りがでる可能性は結構あるのではないでしょうか。
正直なところ思った以上に誤差が出る調査なのかな、と感じます。
その誤差を考えたうえで出てきた数字がJNN55.3%、読売61%ですから、
まあ誤差の範囲内のブレかなというところです。
で、先ほどリンクしたページの最後にも書かれていますが、
このように調査方法や質問方法などを明確にした調査は誤差はあれどそこそこ信頼できるのですね。
しかし残念ながら私は、共同通信さんがだれにどのようにどんな質問で調査したのかソースを見つけることができませんでした。
決して調査結果を疑っているわけではないのですが、
そういったことを明確にしてこその世論調査だと思うのです。
それが正しい報道姿勢ではないでしょうか。
にもかかわらず、
各社こぞって共同通信さんの後追い報道に努めていますね。
愛媛新聞さんや北海道新聞さんはともかく、日経新聞さん、毎日新聞さん、産経新聞さん、東京新聞さんなど大手でもです。
中でも日経さんと毎日さんは自前で調査をすることも多々あるはずなのですが、
今回は共同通信さんの調査をそのまま転載するだけのお仕事をしています。
(以下は自前で調査した際の記事)
世論調査の推移というのは、同じ方式で同じ質問で続けた場合に価値があるものですから、
やり方の違う他社の調査をそのまま垂れ流すのはいかがなものでしょうか。
調査方法も明確にされていない共同通信の調査を、いくらセンセーショナルな数字が出たからと言って不用意に拡散するのは報道機関のすべきこととは思えません。
それはエンターテインメントやゴシップのやりかたです。
それから、基本的には正しく行われている世論調査ですが、今年はこんなことも発覚しました。
不正が介在する余地も十分あるのが現在の世論調査です。
だからこそ、報道機関は他社の後追いではなく、
(きちんと公正に管理している前提で)信頼できる自社の調査を報道すべきで、
今回自社が調査していないなら報道は見送るべきです。
何度も言いますが、決して共同通信さんが間違っているとか言うつもりではなく、
報道各社には「自社で調査する」あるいはもし後追いするならちゃんと「ソースを検証する」という姿勢で報道に臨んでいただきたいのです。
そして、私は共同通信さんのソースを発見できませんでしたから、共同通信さんには調査方法をどこかに記載していただきたいですね。
いまのところ朝日新聞さんからは今回の調査に関して記事が出ていませんが、
朝日新聞さんは自前の調査にこだわりを持っているということなのでしょうか。
このまま記事を出さないなら、朝日新聞さん少し見直しますよ。